富士スピードウェイ・ショートコースにてニュー【RC390】に乗ってきました。
旧モデルには乗っていませんので性能的にどう進化・深化したのかは比べれませんが、率直な感想を伝えたいと思います。
先ずはデザインですが、今のMotoGPマシンをモチーフにしたカッコいいスタイルに劇変しています。
ただ見た目がスタイリッシュに変わったのではなく、そこにはサーキット走行で速くしかも勝利を掴むことを視野にいれた緻密な計算で設計された大胆な変化が見て取れます。
データの部分ではフレームが1.5kg、前後ホイールとブレーキディスクで4.3kgもの軽量化を果たしています。
バネ下でのこの軽量化は運動性能に直結します。
クリップオンハンドルは10mmの高さ調整が可能で普段乗りとスポーツ走行で使い分けできます。
シートも表皮がアルカンターラでグリップ性・クッション性・ホールド性が高いものとなっており、加速時コーナリング時にその恩恵を感じることでしょう。
シート高は824mmと高いのですが、スポーツ走行するにはこの腰高なポジションは必須でありエンジンマウントが低く低重心であり車体自体も軽いので停車時の不安はなんとかなるはずです。
ちなみに私、千葉達士は157cm・53kgという標準以下の日本男児ですが足着きが悪いからといって乗りたいバイクを諦めたりなんかしたことありません。
サスペンションですが、フロントは圧伸びのリアはプリロードと伸びの調整機能がついています。ダンパーの調整幅は30クリックもあります。
カウリングはコンピューターシミュレーションにより空力特性を適正化した風防効果が高い設計になっています。
なのにライダーがマシンと接するタンクとボディーサイド部分のホールド性は高くライダーありきの自然な形状になっています。
電子制御に関してはMTCとコーナリングABSは標準装備でクイックシフター+はオプションになっています。
いざコースインしてマシンがコンパクトなのにライディングポジションの自由度が高く軽さからくる向き変えの軽快さにビックリ。
単気筒なのにギャロップしているかのようにエンジンは軽快でトルクがありスムーズ。そして高回転までビンビンに回りまくります。
このエンジンの美味しいところは中速域にあり、他のマシンだとトルクの谷があって回っているけど前に出ないところでサラッと前に出ていきます。
コーナリングでは多用する回転域なので、テクニカルなコーナーが複合して続くような場面では我慢してストレスになるはずが余裕をもってアクセルを開けていけます。
こんなことできるのも実は車体のディメンションがしっかりしているからであって、軽量・低重心・サスペンション性能・ブレーキコントロール性能を抜きには気持ちよくなんかは走れません。
なのでコーナー進入してからのライン変更の自由度も高く、レースだと混戦するようなポイントでどこからでも入れてラインを変えてマスを避けて抜けれるだろうし、公道では危険な状況になっても瞬時にラインを変えて危険を避けれるラインをすぐにトレースできる余裕性能があると思います。
いいとこばかり言ってますが、単気筒なのでいくら回るエンジンだとしても最高速の到達や伸びは2・3・4気筒エンジンには及ばないのは致し方無いのです。
しかしそんなことより、一番使える領域が気持ちよく楽しいバイクってそうそうありません。
カタログの一部を切り取って表記されたデータでバイクの性能を決めてはいけません。
バイクは気持ちよく歓喜を喚起するマシンでないといけないと私は思っていますので、単なる馬力とか最高速といった見えるデータや実のないデザインに惑わされず、見えないけど潜んでいる歓喜をいつも引き出してくれるフィロソフィーを内包したマシンに乗って下さい。