KTM 1290 SUPER DUKE R インプレッション 

 
 1290 SUPER DUKE R、 【THE BEAST】と誇称されるKTMのトップセグメントモデルであります。
過去にディーラー試乗会で2回ほど短い距離ですが公道を走行しましたが、それは衝撃的なアドレナリン噴射体験でありました!

 一言で表現するなら、『軽やかな鬼トルクの塊!』であります。
さて、この度弊社でこの【野獣】を試し飼いすることにしました(試乗車)。
せっかく飼ったのだから、遊ばせてあげないといけませんので定休日に散歩にでかけました。

 その強烈な加速を体験してるもんですから、乗る前から年甲斐もなく私はワクワクのハカハカもんです。
 
 先ずはデータとしてこの野獣の心臓は1301cc・180PS@9,500rpm・140Nm@8,000rpmの【LC8】と呼ばれるV-Twinエンジンを搭載しています。

 これだけを見てもこの排気量では異常な高回転型エンジンであります。
圧縮比は13.5:1、ボアが108mmでストロークが71mmという驚異の数値!もうオカシイとしか言えません!  

 しかしいざ乗り出すも、この野獣は普通の穏やかな操作ですと普通に優しいワンちゃんであります。
ちょっと走りたがり屋ですが、交通の流れに従いつつも自らは決して牙を剝くようなことは一切ございません。

 ところが、飼い主がその気を出せば瞬時にネコ科の野獣に変貌します。
 
 アクセルワイドオープンでエアクリーナの吸気音が荒い咆哮に変わり、しなやかな脚は路面を瞬時に捉えて跳ぶが如く蹴飛ばす。
その加速はパワーで引っ張られるような柔い質感のモノではなく、後ろからどつかれ弾かれたような硬質なモノ、当にこれぞトルクといった凄まじさを味わえます!

 アクセル【バコッ!】で【ドン!】というワープ感なのですが、点から点への瞬間移動のような錯覚に陥ります。
 このトルクによる加速感がまた今まで私が経験してきたモノとは異質であります。

 脳内アドレナリンを噴射させながらニヤケつつ点移動を繰り返していると、さあ瞬く間にコーナーが迫って来ます!
「ウッヒョー!」となりながらブレーキング開始、すると【ブレンボ】のブレーキシステムで瞬時に強烈に減速します。

 真綿で締めるが如くレバー入力に対してリニアなコントロール性を備えておりライダーが求める速度まで一気に減速しつつ、その後のリリースでのコーナー中の引きずり残しも絶妙であります。これはブレーキのみならずやはり【WPサスペンション】の恩恵も大きく、初期の動きはしなやかで、奥でしっかりダンパーが効くという特性でもって路面追従性が高いからなせる安定感・安心感であります。

 そして、この図体でコーナー進入の軽やかなことと言ったらビックリですよ。怠けた乗り方をしていてもフロントがすぐ舵角が付くように切れてそれなりに曲がってくれますが、バンキングの速さと出てるスピードが同調できたときにはこれでもかというくらい思ったラインをトレース、下手するとそのイン側をトレースしてくれるようにグリっと曲げれます。
そしてコーナー脱出でアクセル【バコッ!】で【ドン!】

 こんなことを繰り返しているとアドレナリンはエンドルフィンへと置き換わり益々ハイな気分になっていくもので、己も野獣化しそうになってしまいますので自制心を呼び起こすために私は決まって途中でスタンディングで乗って気分をリセットするようにしています。

 いや、それにしても1290 SUPER DUKE R 【THE BEAST】とは乗り手次第の野獣であって非常に飼いならされた優しさも持っているのであります。 

 他のデータとして、シート高は835mmで跨った感じちょっと腰高で前傾のポジションですが、車重は200kgと比較的軽く重量配分50:50で私みたいに身長が160cm未満・体重53kgでも乗れているので一般的な体格の方は問題ないと思います。
燃料タンクは16Lで、普通に乗れば燃費は平均18L/km前後でしょうか。
操作系は全て至って軽く、ライディングの妨げになるようなことはありません。

さあライダーの皆さん、異空間の入口に誘ってくれる優しき【野獣】に乗ってみませんか?


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